二級整備士・輸入車オタクの稲数 侑哉です。
「メカニックとしての視点」そして「車オタクとしての視点」から私が感じた様々な車の乗り味、
魅力等を忖度抜きで解説で紹介していくコーナーです。
少しマニアックな話も含めて皆様に車のことを知っていただければなと思います。
今回のレビューから4回連続で特別編を開催します!!!
私は大のNAエンジン愛好家ですが、昨今ターボ化、電動化、ダウンサイジング化とNAエンジンというものは希少となってきました。
もちろんそれは時代と共に進歩した技術によるもので、一概に否定できるものではありません。
しかし、私みたいなオールドタイプな人間はやはり、NAエンジンしか持たない更けあがりの良さ、機械そのものが体に訴えかけるような魅力は自然吸気エンジンでしか味わえないモノで、今もなお魅力的に写ります。
今回から4連続でNAエンジン搭載車の特別編レビューをお届けします。
NAエンジン車といっても車種やメーカーによって魅力や特徴は多種多様。



気筒数や排気量、搭載位置やエンジン構造そのものが異なる車も存在します。
「NAエンジンは良い!」と単純に懐かしむのではなく、それぞれの車が持つ個性を、実際にステアリングを握り、正直にレビューしていきます。
まずスタートラインを切る1台目は・・・
ランボルギーニ アヴェンタドールS編!!!

・スペック
エンジン形式 L539
最高出力 740PS(544kW)/8400rpm
最大トルク 70.4Kg・m(690N・m)/5500rpm
種類 V型12気筒DOHC48バルブ
総排気量 6498cc
・夢の1台だからこそ
子供のころ、スーパーカーという言葉に憧れがあった方ならアヴェンタドールという言葉を聞いて心を躍らせる方も多かったのではないでしょうか。
私自身、アヴェンタドールとは昔からの憧れの存在でした。
ステルス戦闘機のような誰が見ても特別感を感じるデザイン、そのデザインに負けない大迫力のV12エンジン、SFのような内装から跳ね上がるシザードアなど全てが子供の頃に思い描いた理想のスーパーカーそのものです。
つい先日のこと
稲数「あ、社長から電話だ」
社長「稲数君、アヴェンタドール乗ろうか!」
稲数「え!?!?!?」
今回、まさか社長のご厚意で愛車のアヴェンタドールを運転させて頂くことになるとは思ってもいませんでした。
目の前にアヴェンタドールが存在するだけでも非日常ですが、そのステアリングを自分で握るとなれば、正直緊張と恐怖感で一杯です。
しかし、一生にあるかないかの機会、例え子供の頃から憧れている車であってもモータージャーナリストを名乗っている以上色眼鏡で見ずアヴェンタドールという車をしっかりとレビューさせて頂きます。
・半世紀に5台
V12エンジンを搭載するランボルギーニの最上位モデルは開発に何年もの時間をかけます。
ミウラから始まった歴史は

カウンタック

ディアブロ

ムルシエラゴ

アヴェンタドール
レヴエルト

と続きます。
それぞれのモデルは約10年は変わらないほどのロングスパン。
ミウラの登場は1966年、2026年の現代から約60年前に登場した系譜は10年に1回しかモデルチェンジをしていない計算になります。
つまりはアヴェンタドールの登場は10年分の期待を背負っていたということです。
・優先度を下げた?
アヴェンタドールはランボルギーニ社長曰く「ハンドリングを優先し、スピードの優先度を下げた」そうです。
これまでのランボルギーニでは
最高速度→加速→ハンドリング
でしたが
アヴェンタドールでは
ハンドリング→最高速度→加速
の順番で開発されたそうです。
早速どのくらい下げたのか確認してみましょう。
私が今まで乗った車で最も強烈な加速を感じたのはG90型M5

727馬力とアヴェンタドールと比較してもそこまで大きな差は無いように感じます。
最新型になるこちらの車は、V8ツインターボ+強力なモーターを搭載した4WDのハイパワーマシンです。
高度な電子デバイスで凄まじい加速を発揮するG90は言うなれば、現代的な高性能車。
正に良い比較対象です。

結論から言うと、G90とは全くの別物です。
アヴェンタドールのアクセルを踏み込むと、真後ろにあるV12エンジンが爆音を立てながら正に爆発するように加速していきます!
強烈だったのが、加速そのものだけではなく、音、振動、V12エンジンの存在感と全てが一気にぶつかってきて「これはヤバい!」と本気で思いました。

G90型M5の加速は、凄まじく速いですが、安定性も高く、どこか冷静に受け止められる余裕があります。
対してアヴェンタドールはV12エンジンというモノをドライバーに直接叩きつけてくるような印象です。
スーパーカーとはこういうものだ!というのを直接叩かれたようでした。

・強烈
V12エンジンのパワーを伝えるギアもアヴェンタドールの特徴です。
アヴェンタドールのギヤは特殊な構造になっています。
シングルクラッチトランスミッションと呼ばれるこちらのミッション、は単純に言えば構造的にMTの車をATにしているというイメージです。
このミッションはかなり独特で、加速し、シフトアップすると一度「間」を置いて変速します。
MT車で言えばクラッチを踏んでギアを入れ、クラッチを繋げる瞬間に近い感覚です。
正直信号発進などではギクシャク感が強く、扱いやすいとは言い難いです。
しかし高回転域で変速するとどうでしょうか。
シフトアップの瞬間、ドカンと次のギアに叩き込むような感覚は、荒々しいアヴェンタドールという車のキャラクターそのものを現しでいるでしょう。
・最優先事項は?
アヴェンタドールはハンドリングを優先したと先ほどお伝えしました。
最優先で開発された肝心のコーナリング性能はどうでしょうか。
アヴェンタドールはサスペンションも特殊な構造です。
プッシュロッド式サスペンションを市販車で初めて採用しました。

構造は複雑なので、省略しますが、F1カーやレーシングカーのサスペンションがそのままついているようなものです。
見た目で分かりやすい所で言えば、サスペンションそのものが横向きに配置されている所です。
この構造のメリットは、サスペンション部品を車体の中央に近づけることが可能なこと、そしてエンジンの搭載位置をより下げれるところにあります。

エンジンとは、車の中で最も重たい部品。
搭載位置を下げ、中心に寄せるとこによるメリットは絶大です。
この構造を見れば、コーナリング性能は語るまでもないと思います。
アヴェンタドールの面白い所は、クルマそのものは所謂オールドタイプのザ・スーパーカーですが、機構に目を向けるとハイテク装備が多数備わっており、現代的なスーパーカーでもあるという所でしょう。
・男が持つ10歳の心のために
アヴェンタドールSを総合的に見た時、このクルマは正に「ロマンの塊」

デザインについては語るまでもありません、圧倒的な存在感を放つその存在は正にスーパーカー。
街中ではその巨大なボディと合わせて信じられないほど目立ちますし、写真も動画も撮られ気を遣うでしょう。
しかし、「スーパーカーというモノ」の教科書のような存在です。
速さ、音、振動、デザイン、そして憧れ。
この全てをここまで強力に持っている車は今となっては本当に貴重に感じます。
男である以上、例えば戦闘機、ロボット、ライトセーバーなど「男が本能的に憧れるもの」を持っている方は多いと思います。
私もそうでしたが、アヴェンタドールもまたそういった「憧れの一つ」
男が何歳になっても心の奥に持つ純粋な憧れを「そのまま形にした」クルマ。
それがアヴェンタドールです。
このクルマには細かな不満や些細なデメリットなど一切関係ないのです。
2018年、社長が57歳のとき、人生最後のスーパーカーとして新車オーダーした車。
車両本体価格4650万・オプション950万・カスタム500万・・総額6100万という高額車を、
入社2年生の私に運転させるガレージエブリンの社長の器の大きさにも驚きました。
走行4100キロの極上車
社長は年に一度しか乗りませんが、このアヴェンタSとロールスロイスドーンは、
一生売らないそうです。

以上
二級整備士・稲数の試乗インプレッション特別編・・・ランボルギーニ アヴェンタドールS編でした。
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