二級整備士・稲数の試乗インプレッション・・・BMW X7 M60i(LCI)編
2025年10月12日
二級整備士・輸入車オタクの稲数 侑哉です。
「メカニックとしての視点」そして「車オタクとしての視点」から私が感じた様々な車の乗り味、
魅力等を忖度抜きで解説で紹介していくコーナーです。
少しマニアックな話も含めて皆様に車のことを知っていただければなと思います。
第七回目ということで今回は「7」にちなんで・・・
BMW X7 M60i (LCI)!
・スペック
エンジン型式 S68B44A
最高出力 530馬力(390kw)/5500rpm
最大トルク 76.5kg・m(750N・m)/1800~4600rpm
種類 V型8気筒DOHCツインターボ+モーター
総排気量 4394cc
・満を持して登場した「フラッグシップSUV」
ドイツ御三家と言われるメルセデスベンツ、アウディ、BMW。
「最上位SUV」といえる車格の登場は御三家の中ではBMWが一番遅く登場しました。
2019年に登場したX7は2022年にマイナーチェンジ。
エクステリアのフェイスリフト、及びナビゲーションシステムの更新等が行われました。
今回は後期型、さらに洗練されたX7の最上位グレード「M60i」をレビューさせて頂きます。
(エクステリアは二分化されたヘッドライトが特徴)
・「重さ」は「メリット」
X7 M60iの車重は2.6tをマーク。
重い車体を「軽快に走る」というBMW元来の特徴と逆行していますが、「安定性」というメリットがあります。
重さはロールや、余計な揺れを発生させますが、X7においてはしっかりとしたサスペンションにより、そのような挙動は感じません。
SUVは車体の構造上どうしても重心が高くなってしまい「揺られる」と感じる車種も多数ありますが、X7の重心はかなり低く、ドッシリとした車体、大柄なボディが高い安定性を発揮します。
人間で例えると「足を開いて構えている」という印象でしょうか。
直立で立っているよりも、足を広げ、低く構えた方が倒れにくい、というイメージです。
ソフトなシート、マッサージ機能、シートークーラー等快適装備は充実しており「疲れ知らず」でした。
(内装の豪華さは言うまでも無く、最上位SUVという風格を感じます)
・モード変化でここまで変わる
Comfortモードでは乗り心地の良さは高く、路面の衝撃は車内に一切入らないと言える程です。
風切り音やロードノイズも無く、大雨の中高速道路を走っても、PAで止まらないと「大雨だった」とわからない程
ギアの繋がりは段階が存在しているのか疑わしいほどシームレスでショックは無く、どの速度域でもラグ無く加速してくれるアクセルレスポンスを持っています。
しかしここまでの特徴は正直「前期型のM50iと変わらない」と思いました。
というのも、前期型の時点で完成度がかなり高い次元にあるからです。
では後期型では何が違うのか...それはSPORT PLUSモードにすると一変します。
(切り替えは中央のディスプレイから操作します)
切り替えると挙動は一変、車重2.6tが信じられないほど軽快に動きます。
装備されている後輪操舵機能、可変ダンパー、トルクベクタリングといった様々なデバイスが、この車重2.6tの大型SUVをグイグイと走らせていきます。
シフトもショックがかなり大きくなり、自分で変速していかないと上にギアに変わらない演出もあります。
モード変更で、ここまで挙動が変化するということは、車の制御デバイスが大幅に進化していると言えます。
(随所に見られる「M」のロゴは伊達ではなく、走行性能は圧巻の一言)
・増えた「10」という数字
このハイブリットが「いつでも加速できる」と準備していて、強烈な加速を発生させます。
当然ハイブリットは燃費にも影響、530馬力を発揮するエンジンでありながらリッター約8.2キロ、前期型と比べ3キロ程伸びています。
(パワートレーン自体はX6MやG90型M5と同型、純粋な「M」のユニットです)
・究極の「ファミリーカー」
X7は6人~7人搭乗可能です。
一般的なミニバン等含む、ファミリーカーとして考えた場合、ここまで楽しめる車は他には無いと言い切れます。
FRをベースとした車体構造から、強力なパワートレーン、進化した電子デバイス等で、高速道路や山道等、様々なシーンで楽しむ事が可能です。
例えば「家族とドライブ」というシチュエーション。
ドライバーが「運転を楽しめる」という特徴においてはX7 M60iの右に出る物は存在しないでしょう。
普段使いから、人数を載せての移動、たまに楽しむドライブなど様々な場面で幅広く活躍するこの1台
X7 M60iはBMWのフラッグシップSUV、言い方を変えれば「BMWの顔」とも言えます。
BMWの顔に恥じない「最上級SUV」、1度座ってしまうと、その名は伊達では無いと、すぐに理解できると思います。
以上
二級整備士・稲数の試乗インプレッション・・・BMW X7 M60i(LCI) 編でした。
(今回試運転した車はドレスアップされており、ガレージエブリンでしか手に入らないカスタムになっています)