二級整備士・稲数の試乗インプレッション・・・BMW M5(G90)編
2026年02月20日
二級整備士・輸入車オタクの稲数 侑哉です。
「メカニックとしての視点」そして「車オタクとしての視点」から私が感じた様々な車の乗り味、
魅力等を忖度抜きで解説で紹介していくコーナーです。
少しマニアックな話も含めて皆様に車のことを知っていただければなと思います。
今回のレビューはこの車!!!
BMW M5(G90)編!!!

・スペック
エンジン型式 S68B44A
最高出力 585馬力(430kw)/6000rpm
最大トルク 76.5kg・m(750N・m)/1800rpm~5400rpm
種類 V型8気筒DOHCツインターボ+モーター
総排気量 4394cc
・新世代のスタンダード
先日、ガレージエブリンにおいて初入庫、現在社員間においても話題となっている現行モデルのG90型M5。
私も入庫が決定した際に「これはレビューしたい!」と強く思った1台です。
以前、F10型M5をレビューさせて頂いた際に少しだけG90に触れましたが、M5とは世代交代最初のナンバー
つまりはBMWの新たな歴史のスタートとなる1台。
今回はそんな「最新のBMW」であるG90型M5の実力を確認して行きましょう。

・「今時」の力を手に入れた
G90型の大きな変更点はPHEVとなったこと
PHEV車と言えば以前、G30型530eをレビューさせて頂きましたが、世間一般的には環境にやさしいというイメージがあります。
しかし、近年スーパーカーにも採用される例も増えています。
例えばマクラーレンアルトゥーラやフェラーリSF90といった車


これらの車は当然ですがパフォーマンスを追求した究極のモデル。
PHEVが採用されるということは、燃費、環境配慮関係なくパフォーマンスとして魅力があるということを裏付けています。

実際、G90ではエンジンパワーのみだと585馬力と先代モデルであるF90では625馬力を発生させていたのでスペックでは劣っています。
しかしそこにPHEVのパワーが加わることで最高出力727馬力、トルクにすると1000Nを発生させます。
1000Nという数値は、純粋なガソリンエンジン車ではアストンマーチンV12ヴァンキッシュなどのスーパースポーツで見るような数値ですが、バッテリーやモーターの技術が発達した現在、M5というセダンでも見れる時代となりました。
以前から何回か話している気もしますが、時代とともに規制、環境配慮が厳しくなっていくことで、ハイパフォーマンスカーはその煽りを最も受けてしまうジャンルとも言えます。
実際、G90はエンジン単体で発揮する出力では625馬力を発揮する先代モデルと比べて585馬力と抑えられているのが事実です。
勿論環境規制が原因としては大きいところです。
しかし考え方を少し変えてみましょう。
モーターという力を得たG90は、逆に言えばエンジン単体でそこまで出力を出す必要が無くなったとも言えます。
馬力を抑えたことにより、冷却性能や耐久性能も高くなったと考えれば、Mらしい思想と考えられます。
安定して出力を出し続けられるエンジンと進化しました。
・経験したことない程の・・・
早速試乗へと移りましょう、727馬力、1000Nという数値は私も人生で初めての経験。スペックで言うと今まで運転した車の中で最も高性能な車です。
早速踏み込んで見ますが、叫んでしまいました「何だこれは!!!」
まずシンプルに速すぎます。M8GCやRS6アバントといった高性能スポーツは何度も運転した経験がありますが、それらと比べても経験がないほどの異常な加速力です。
加速の感じで言うと、まずガソリン車では不可能な加速、ギアは存在しないでワープしていると錯覚するほどです。
流石にトルクが強力すぎて、0からの加速では上手く地面にトルクを伝えられない所がありますが、本領は30キロくらいからの加速。
とにかく心臓が止まるほど強力で、私にはついて行けませんでした。
今まで乗った車の中で近い乗り味で言うとヒョンデIONIQ5Nでしょうか。

こちらの車は609馬力、700Nを発生させる高性能なEV車でありますが、EV車は出力特性上、加速が強力になる傾向にあります。
例えばハンディー扇風機等をイメージして頂くのが分かりやすいかなと思います。
ボタンを押せばMAXでプロペラが回りますが、EV車では同じようなイメージで、アクセルを踏めばラグ無く最大パワーを発揮するのがモーターです。
ガソリン車ではそれが不可能です。
欠点としては、逆に限界値が低いという所があります。回転数が多くなると抵抗が大きくなるのがモーターです。
しかしG90 M5はエンジンも搭載しています。
しかしエンジンは先ほども言った通りラグを発生させますが、そこでモーターです。
アクセルを踏み込む
↓
エンジンがパワーを発揮するまでにモーターがMAXパワーで加速
↓
エンジンがパワーを発揮して来た所でスムーズにモーターからエンジンへ移行
↓
結果的にワープと錯覚するような加速
といった流れでお互いの弱点を補いあうモーターとエンジンの組み合わせがG90の異常ともいえる加速力を発揮させています。
その加速力が例え0キロでも100キロでも関係なく発揮されるのは驚異的です。

(ガソリン車の味が残っているのも良いところ)
・大きくて、重くて、よく曲がって良く止まる
勿論G90は加速だけの車ではありません。
車重は2.4トンと非常に重い車ですが、その重さを忘れる程の軽快さで走ります。
4WSシステムや、トルクベクタリング機能等、最新の技術で武装し、それを受け止めるブレーキも回生ブレーキを含み強力な制動力。
しかし、乗りこなすには慣れが必要と思ったのも事実です。
私は重くてよく曲がる車というものに乗り慣れていない所があり、実際運転していても重さは感じます。
コーナーに入れば自分の中にある「これ本当に曲がり切れる?」といった思いが強くなり、思わず減速して本来の性能を発揮できませんでした。
ただ、それでも「この車は物凄いコーナーリング性能がある」と感じました。
というのも、まず感じたのは圧倒的なボディの剛性感、そしてそこからの安定した姿勢
「車そのものが曲がってくれる」と感じ、恐らく限界値は私が思っている以上に高いところにあると思います。
そしてそこからのモータートルクによる立ち上がりは圧倒的です。
G90は軽さで曲がるのではなく、制御で曲がる車と感じます。

(正に「今時の車」)
・圧倒的質量感
現行モデルのBMWあるあるですが、賛否両論のデザインにも触れておきましょう

基本、車のデザインにおいて、新型車は大きく分けて2つに分かれていると私は感じます。
それは「保守的」か「独創的」かです。
BMWでいうと、前者はF90型M5が当てはまり、後者はG82型M4が当てはまります。

保守的なデザインは登場時、世間から受け入れられやすいですが、逆に言えば「新しさに欠ける」とも言えます。

独創的なデザインは、インパクトこそ大きいですが、受け入れられるまで時間がかかると言ったイメージです。

G90は後者に当てはまるでしょう。
私個人の意見ですが、やはり「独創的なデザイン」の方が好みと感じます。
理由はインパクトです。
保守的なデザインは、最近のトレンドでもありますが、「過去の車へのオマージュ」というパターンが多いです、私はそれはそれで良いとも思いますが、「うおっ」と感じる衝撃に欠けるとも思います。
確かにインターネットで見る画像ではイマイチでも、実車を見ると「かっこいい!」と思う車は経験上独創的なデザインの車の方が多かったと感じます。

(当時新型で発表されたNC1型NSXの衝撃は今でも覚えています)
私が学生の頃に見た、「車好きにさせてくれた車たち」には共通して「独創的なデザイン」というものがありました。

G90もそんな1台、写真と実車は大きく違っていて、マッシブでどこかアメリカンな雰囲気で存在感があります。
「無骨なデザイン」とは正に誉め言葉でしょう
(私がアメ車好きなのもあると思いますが)
BMWは、F型まで保守的なデザインが多かったように感じますが、G型になってから独創的なデザインが多いように感じます。
・終わりと始まり
世代交代の始まりとなるM5がPHEVとなった今、純粋なガソリン車は終わりを迎えようとしていると言えます。
しかしそれはPHEVという武器を手にした新たな始まりとも言えます。
あくまで補助でしかなかったモーターが今、パフォーマンスの中核となっています。
電動化を手にしたMの新たな始まり、単純な速さでいうと「最速」なG90は
純粋な内燃機関の時代は終わり、新たな時代へと踏み込む第一歩
G90は歴史の転換点です。
そんな歴史の転換点を実際に感じてみたい皆様はぜひ一度手にして見てください。

以上
二級整備士・稲数の試乗インプレッション・・・BMW M5 G90編でした。
前回

(M5と中身を共通するM8の登場を待つばかりです)










